誰でもわかるUXデザイン
UXデザイナー兼エンジニアの片岡です。
今回はUXデザインってなんだろう?についてやっとうまく言語化できる気がしたので、割と誤解されがちなUXデザインについて書いてみます。
UXデザインとは?
まずUXとは、ユーザー体験のことですね。ユーザー体験とは読んで字の如しユーザーが体験したことですね。
そしてデザインとは、何らかの目的を達成するために創意工夫する行為のことですね。あなたが日々行なっていることもデザインの一つですね!デザイナー仲間ですね!
じゃあUXデザインとは?
「ユーザーにとってポジティブな体験をしてもらうために関係者みんなで創意工夫すること」ですね。つまり日本人お得意の「お・も・て・な・し」ですね。
トイレでの例え
汚い例えで恐縮ですが、共感しやすいのでトイレで例えたいと思います。
例えば自店のトイレで、「自分が触ったトイレットペーパーを設置すると利用者にとって衛生的に微妙で気持ち悪いと思うのでトイレットペーパーの設置をやめます!」とします。
こんなことすると利用者からすると「紙ねえじゃねぇか!!ふざけんな!!」ってなって「お・も・て・な・し」どころか「ひ・と・で・な・し」になることは火を見るよりも明らかですね。
ロジックとして筋が通っているか(定量的な部分)だけでなく、ユーザーのコンテキストを明らかにしてユーザーの感情にいい影響を与えるか(定性的な部分)も一緒に考えるのが重要ということですね。
正論だけでは誰も幸せにならないということですね。
※コンテキストとは、ユーザーを取り巻く状況や直面している出来事などによる心情と思ってもらえると良いです。
UXデザイナーのお仕事
UXデザイナーのお仕事とは、「ユーザーにとってポジティブな体験をしてもらうために関係者みんなで創意工夫する手助けをすること」です。
まずはユーザーについて知ることです。ユーザーが置かれている状況を知り、ユーザーがどういう感情を抱いているか知ります。これに関しては憶測で決めるのではなく実際に行動を観察したり、インタビューしたりして実態を調査して明らかにします。これをユーザーリサーチと言います。
ちなみにエクストリームユーザー(例:Excelを表計算ソフトとしてではなくセルを方眼紙に見立てて書類作るような人)をリサーチ対象にすると深い気づきを得られることもあります。
そしてユーザーについて知ることができたら関係者がユーザーに共感できるようにします。
ユーザーがどういった属性(例:年齢や性別・職業)の人なのか、日々どういうことを見て・聞いて・言って・考えているのか、どう言った体験に価値を感じるのかを明確にします。そうするとユーザー像の解像度が上がって理解度が増します。
よくペルソナを作ることがありますが、名前をつけてAIで実在しない顔写真を生成してもらうとより解像度が増し、「〇〇さんこれしたら喜ぶかな?」なんて考えられるようになります。(実在する人物を設定するのもアリです)
次に関係者と一緒にユーザーにポジティブな体験を提供するアイデアを出していきます。
おすすめはアイデアの方向性を広げる「発散フェーズ」と方向性に対して具体的な実現方法をアイデア出しする「収束フェーズ」に分けて、それを繰り返すと良いです。
また下記のようなグランドルールを設けるのも効果的です。
- 発言を否定しない(心理的安全性担保)
- 最後まで話を聞く
- アイデアに便乗OK!些細な違いでもアウトプットする
- アイデアは必ず記録に残す(思いついたら付箋に書く)
- 奇抜なアイデアも歓迎する
ここで「〇〇するとユーザーは喜ぶはず」と仮説ができるはずです。
次に出来上がった仮説を元にプロトタイプを作って検証していきます。
アプリケーション開発においてプロトタイプは大まかに分けて2種類あり、ローファイ・プロトタイプとハイファイ・プロトタイプがあります。
ローファイ・プロトタイプは紙に手書きでラフに書いたものユーザーを見せて、「こうしたらこうなります」と口で説明します。低コスト短時間で検証でき、詳細度が低いためコンセプト自体にフォーカスを当てて仮説検証ができます。
ハイファイ・プロトタイプはFigmaなどのプロトタイピングツールを使ってユーザーの反応を伺います。実物を使っているような体験ができます。詳細度が高いため、使いやすさやわかりやすさなどユーザーとの接点の検証ができます。具体的なフィードバックが得られる一方、「ボタンの色が気に入らない」みたいな本質とは関係がないフィードバックもあり、コンセプト自体の仮説検証には向かないなどそれぞれのプロトタイピング手法には向き・不向きがあります。
こうしてユーザーを知り、ユーザーに共感し、アイデアを考えて検証した結果、実際にユーザーへ価値を届けて行くことになります。この一連のプロセスを繰り返し、ユーザーにポジティブな体験を届け続けることがUXデザイナーとしての使命となります。
そしてこの一連のプロセスを体系的に行うことで、プロセス自体を振り返ることができるようになります。
例えば、トイレットペーパーの設置をやめた結果めちゃめちゃ評判が悪かったとします。
トイレットペーパーの廃止の仕方が悪かったのが、トイレットペーパーを廃止するという方向性が悪かったのか、トイレットペーパーを設置することで衛生面から不快に感じるという仮説が間違いだったのか、そもそも意見を聞いたのがガチ潔癖で声がデカいやつだったわ・・・などそれぞれのプロセスを振り返ることができます。
そして一番重要なのがチームビルディングです。
関係者内で「どうしたらユーザーにとってポジティブな体験をしてもらえるだろうか」と考えられる習慣を作ったり、お互いを尊敬・尊重し意見を言い合えるようにチームをデザインするのも非常に重要です!
最後に
UXデザインは奥が深い分野ですが、あまり気難しく考えずに「ユーザーにとってポジティブな体験をしてもらう」ことにフォーカスしていくと良いと思います。
業種問わず仕事にも使えますし、日常生活でも使えますし、気になる異性の気を引くことにも使えます。
ちなみに余談ですが、気になる異性にサプライズを仕掛ける際もしっかりユーザーリサーチを行うことをお勧めします。いきなり大量のバラの花束を持って突撃するようなことはあまりお勧めしません。